85歳の男性患者が「根曲がり竹」を無造作にドスンと診察机に置いたのです。
「どうやって調理すればいいんですか?」
「少し切れ目を入れて、バターをつけて焼くと美味しい」
熊と闘うAYさんは私のヒーローです。
「熊よけには、遠くまで音が響く南部鈴やラジオがいい。でも俺は何も持っていかない。熊が目の前に現れたら、絶対に目をそらしてはだめだ。目をそらすと逃げようとしていると思われ襲われる」
「目は熊を睨みつけ、四つんばいになって草に隠れ、ウ〜ウ〜と低い声でうなる。すると熊があとずさりするので、今度はもっと大きな声を出して騒ぐ。熊は体が大きい野獣が来たと思って後ろに逃げ出すので、その後を追いかける。熊が通った跡は強い匂いがする」
「熊がいた場所は、熊の大好物の美味しい根曲がり竹の宝庫になっている。リュックサックにごっそりと根曲がり竹を入れて帰ってくるんだ。標高の高い場所にはやわらかくて美味しい根曲がり竹が生えている」
満面の笑みを浮かべて楽しそうに語ってくれます。重症の心不全があるのですが、山に入るのが生きがいのようです。