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Site icon image八ヶ岳から吹く風 PART 2

八ヶ岳のふもとにある諏訪中央病院で地域医療と若手医師教育を行なっています。医学生や一般の方にもわかりやすく正しい医学情報を発信したいと思います。名古屋の大同病院、会津の福島県立医科大学会津医療センター、郡山の太田西ノ内病院と総合南東北病院でも医学生&研修医教育の機会をいただいています。

オランダ人医師ポンペ

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長崎の小島養生所跡資料館を訪れました。受付の方に案内していただき、約1時間にわたり詳しい解説を受けたおかげで、ポンペや松本良順の功績が理解できました。ここはまさに、日本における近代西洋医学発祥の地です。


オランダ人医師ポンペが長崎に降り立ったのは、わずか28歳のときです。彼は日本で初めての近代西洋式病院として小島養生所を1861年に開設しました。5年間にわたり、臨床の場で患者を診ながら、同時に松本良順ら若き医師たちに実践的診察の技を惜しみなく伝えました。そこには机上の理論ではなく、病に苦しむ人々と向き合いながら育てる教育の姿がありました。


館内では、当時の診療や講義の様子を再現した映像も上映され、医療の原点に触れる思いがしました。ポンペの残した言葉、「ひとたびこの職務を選んだ以上、医師はもはや自分自身のものではなく、病める人のものである」は、今を生きる私たちの胸にも響きます。


長崎の海風に包まれた養生所の跡地に立つと、近代医学の息吹を日本にもたらした若きオランダ人医師の熱意と、その精神を受け継いだ弟子たちの姿が、時を越えて静かに語りかけてくるようでした。

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