福島中央テレビニュースで私たちの取り組みを紹介していただきました。
医療過疎地域・奥会津で始まった在宅医療 「介護する側がどれだけ救われたか」
新型コロナウイルスは私たちの日常を大きく変えた。
病院などで大切な人の最期に立ち会えない、ということもその一つだった。
せめて、最期は我が家で家族と暮らしたい、そんなささやかな思いを支える人たちがいる。
豊かな自然に囲まれた奥会津地域。
近年深刻となっているのが高齢化と人口減少。
金山町の高齢化率は福島県内で一番高く、60%を超えている。
奥会津には病院が2つしかない「医療過疎地域」。
長時間かけて、会津若松市内の病院へ通院する人も多く、そんな地域に2年前、三島町の県立宮下病院と県立医大が共同で開設した施設がある。
それが、奥会津在宅医療センター。
医師2人、看護師4人が所属し、診察室はなく住民たちの元へ医師と看護師が向かう。
日ごとに依頼が増え、担当する患者はなんと100人を超えた。
多くは80代後半から90代前半の高齢者たち。
遠い人の家までは片道、1時間以上もかかる。
柳津町に住む齋藤シゲさん(91)は、月に1回、在宅での診察を受けている。
シゲさんは数年前に、脳幹梗塞を患った。
シゲさんの娘・澄子さんは、「それまでは会津坂下町の個人の医者に行っていたけど、なかなか連れて行くのも大変だし」と話す。
豪雪地帯でもある奥会津地域は、通院が家族の大きな負担となる。
医師の鎌田一宏さんは、特に注意して診ていることがある。
それは高齢者たちの「脚」。
脚が悪くなると、運動量が落ち寝たきりになる場合が多いのだ。
在宅医療を受ける患者は人と接する機会も減る。
そのため、患者と会話をすることも大切なことだ。
鎌田医師は、「往診に行って話をするだけでも、患者さんやご家族が満足してくれるので嬉しいし、いい医療を提供できるようにしていきたい」と話す。
もう車が運転できない高齢者の夫婦でも、在宅医療では薬の処方を受けることができる。
看護師による定期的な体調の管理や、新型コロナワクチンの接種などもでき、地域の医療を支えている。
ただ、在宅医療を必要とするこうした「医療過疎地域」は奥会津地域だけではなく、震災の被災地など県内含め全国に点在している。
しかし、医師不足などの問題もあり、「在宅医療」は十分には普及しておらず、担当できる患者数にも限界がある。
限られた人数でも対応できる能力を高めようと、鎌田医師らは勉強会を開いていた。
日ごろ、患者の世話をする家族の日常的な負担を少しでも減らすことができるよう、患者の症状などをチームで共有し、みんなで対応できるように努めている。
在宅医療には医療を超えた、大切な役割がある。
埼玉県に住む雪下昌子さんは、おととしの11月、母・ミドリさん(故92)を金山町にある自宅で看取った。
昌子さんは当時のことを、「家に帰りたいと言っていて、当然だなと思った」と病気で寝たきりになったミドリさんの様子を振り返る。
入院を断り、自宅に戻ると、在宅医療のチームが最後まで寄り添い続けた。
昌子さんは、「介護する側がどれだけ救われたかなという感じ、安心。何をするでもなく、何かあったときに後ろにいてくれる、それが大きかった。入院したままなら、コロナの影響で会えないまま見送ることになったと思うけど、いい選択だったのかなと思う。多分本人も『いいよ』と言ってくれていると思う」と話す。
家族がミドリさんと過ごせたのはおよそ1か月間。
コロナ禍の今だからこそ、かけがえのない時間となった。
最期の日々を支える「在宅医療」。
奥会津地域で、その可能性を探る取り組みが続いている。
https://www.fct.co.jp/news/news97bohhytx0bqwyh4mj?date=2022-06-08